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コーチング業界の反面教師を知る
 私の近い将来の夢に、コーチング等に関する文献の集まった図書館を作りたい、というのがあります。まあ、誰が利用するかと言えば、私がいちばん利用すると思うんですが(笑)、支援対話学会 は非営利団体ですので、キャッシュが回ってきたらそういう場所を創ろうかな、と思っています。(会員募集中です♪ あと300人くらい!)

 ま、そういう構想があることもあり、コーチング研究に関すると思えば、割と無節操に本を買ってしまうのが悪い癖になっております。

 ICF(国際コーチ連盟)も、会員会費の値上げまでして「コーチングの科学的な実証」にこだわり始めています。ただ、ICFがやろうとしているのはあくまでも「マーケットリサーチの延長としての学術的調査」であり、効果を裏付けるものでしかない。もちろん、それにも一定の意味はありますが、効果があることを前提として調査する、というのもどこかおかしな話ではあります。効果のあるものは害もある。これを前提として、いかに副作用を抑えることができるか、という研究こそが、必要な気がします。
 右の学会誌1号では、コーチングがどのように生まれ、変質していったのか、という歴史について書かせていただきました。そこで出会った事実は、コーチングがアメリカのヒューマンポテンシャルムーブメントや、日本の自己啓発セミナーの影響を受けていることです。

 それが具体的に、どのように影響を受けているのか、ということを知りたいと思って、今回、入手したのがこの2冊です。



 『エスリンとアメリカの覚醒』の方は、ガルウェイとトマス・レナードやローラ・ウィットワースをつなぐ「エサレン研究所」についてのSTORYです。そこで何が始まり、何が行われていたのか、ということが書いてあります。パールズのゲシュタルト療法、マズローの人間性心理学、ロジャーズのエンカウンターグループ…。それはまさに西洋的なベースを持ったアメリカが東洋的な人間観を得て融合し、新しい知見が生まれる場所であったようです。

 しかし、後半、その結果として生まれてしまったのが、エアハルトの「エスト(エアハルト・セミナーズ・トレーニング)」でした。おそらく旧来の権威から自由になり、気づきと学びを創り出そうとしていたエサレン研究所から、エアハルトを頂点とする階層型のピラミッド組織である「エスト」というプログラムが生まれてしまったのは、人間の性としか言いようがありません。霊長類である人間は、特に男性は、どうも、DNAにボス猿になりたがる傾向があるのでしょうかね…。

 それはさておき、『コーチングのすべて』にも記載がありましたが、ガルウェイはこのエサレン研究所に「インナーゲーム」を持ち込んだのです。

 今回の本では、エサレン研究所では「ボディワーク」が重要な要素のひとつであり、スポーツが取り入れられていった、という事実がわかりました。引用します。
「スポーツが問題に対する一つの答えであり、ほんとうに自己の成長を望むならば何か体育的なことをしなければならない、といった言葉がこのサブ・カルチャーのなかに浸透していった。武道、なかでも合気道が人気のトップであり、ヨーガとランニングが小差でそれに続いた。」(P254)
…まるで今の日本ですね(笑。影響受けすぎです。

 ガルウェイがコーチングを発見し、それをエサレン研究所に持ち込んだ。トマス・レナードとローラ・ウィットワースは「エスト」に関わり、その後、コーチングをビジネスとして成立させた。ここまではOK。

 問題は、この辺が日本にどう持ち込まれたか、ということです。

 『心をあやつる男たち』はヒューマンポテンシャル運動の成果でもあるTグループが「研修」として日本に入り、その後、変質してしまったこと、そしてアメリカで生まれたマルチ商法と自己啓発セミナーが合体して、日本にどのように入ってきたのか、ということが実名・実団体名入りで書かれたノンフィクションです。
 これはすごい本です。というか、研修などに携わる人には正しく理解しておいて欲しい話です。

 アメリカのTグループは日本において変質し、徐々に社会問題化していたようです。引用します。
「アメリカのSTは、人里離れた施設で二、三週間かけておこなわれるが、「働き蜂」の管理職を相手にする産能短大のST講座は一週間に短縮してあり、その分、訓練の進行には性急さが求められた。土曜の昼から開始され、翌週の金曜まで、感受性の訓練が果てしなくつづく。朝は九時から夜の九時過ぎまで実験室に閉じ込められ、見ず知らずの者に向かって<いま、ここ>で感じたことを吐露しなければならない。その期間中、一時間半の会合が計十八回おこなわれた。」(P29)

「STが問題になったのは、社命によって強制的に参加させていたからだという側面が強い。しかも、同一社内のなかだけで実施すれば、人間関係が破壊される恐れがあり、後味も悪い。研修嫌いの者を増やすだけで、何の利点もなかった。いや、それどころか自殺者や精神病院送りの受講者を次々に生み出し、信奉者が狂気の輪を連鎖させてゆく。STは、産業界に導入された時点で、すでに破綻していたのである。」(PP169-170)
 アメリカ人と日本人の心理的特徴は違います。社会的環境も違います。従って、同じようなプログラムを日本に導入しても、結果として弊害ばかりが目立つことになったのでしょう。
「アメリカでは、STから疎外と孤立を克服するエンカウンター・グループが生まれ、集団心理療法が大衆運動へと発展した。日本でも、教育学者やカウンセラーなどがSTをエンカウンター・グループと言い換えて各地で実施してきたが、その勢力は微々たるものだった。」(P170)
 この後、この本はアメリカを追われたロバート・ホワイトと、マルチ商法のセールストレーナーである島津幸一が出会い、「ライフダイナミックス」をマルチ的手法で広めていく話となり、ここから大量のトレーナーが排出され、社会問題を引き起こし、今のコーチング業界に影響していくわけです。つまり、これらの話は「人」でつながっているわけです。なんと、豊田商事 にまでつながっているということがわかり、この世界の闇の深さを思い知りました。

 ちなみにどうも日本のコーチングで言われる「コーチングの三大スキル」の「傾聴・質問・承認」という話や、「フィードバック」や「シェア」という言葉は、こういう自己啓発セミナーの影響を受けているようです。(発祥や経緯については未調査。)

 さて、どうやってこの自己啓発セミナーが「日本化」していったのか、ということに関して、著者が面白い指摘をしています。
「日本では、カウンセリングなど無形のものに対して料金を払う習慣がない。カウンセラーの国家資格制度は存在せず、精神医学は脳の研究が中心であり、心を扱う精神分析は精神医療の世界に根づいていない。
 その代わり、宗教団体には私財を投じる者がいる。心理療法が根づかないのは、新興宗教がその機能を果たしてきた側面が強い。(中略)
 心理療法を応用するセミナー会社は、マルチまがいの商法や新興宗教のような形態をとらない限り、日本では普及しないのかもしれない。」(P218)
 ここでわかるのは、アメリカでは確かに「エスト」も「マルチ商法」も問題になりましたが、それはあくまでも受講者の問題でした。日本の場合、「宗教」化したり「マルチ」化した「自己啓発セミナー」が「空気を読む」文化の中で、個々人の問題ではなく、周囲を巻き込んだ「社会問題」になったから、ではないかと思います。
「当初、ライフダイナミクスは、企業のトップや社会で指導力を発揮する人たちを勧誘の標的にしていた。縦社会の日本では、上司の誘いを断りにくいからである。そして、勧誘活動では、日本人が最も得意とするチームごとに競い合う「小集団活動」が遺憾なく発揮され、受講者の年齢が年を追って低下していった。
 セミナーでは「冒険」「選択」「可能性」が強調され、受講者をその気にさせるプログラムがふんだんに盛り込まれている。集団催眠の状態なので暗示がかかりやすくなり、ことに「自分のない人間」はセミナーの価値観を吹き込まれやすい。その結果、会社を辞める者や離婚する者が際立つようになった。
 業務が混乱したり退職者を続出させたことから、一連の自己開発セミナーを禁止する企業や病院があらわれた。」(P218-219)
 ここで気になったことは、いわゆる自己啓発セミナーが、単に個人受講だけではなく、企業研修として入り込んでいたという事実です。その目的は、マルチ商法との関係もあって、セールス・トレーニングであることが多かったようで、この本では、いかに簡単に「人を変えたい」人がテクニックを使って人を「生まれ変わらせる」ことで、その人を不幸にしてきたのか、その産業の歴史を垣間見ることができます。

 さて、翻ってコーチングです。現在、自己啓発系のトレーナーから足を洗って反省を踏まえてコーチングや研修を行っている人は数多く居ることでしょう。しかし、エアハルトやロバート・ホワイトのように、背景や問題点を考えず「儲かるから」という理由だけで、集団心理を操って、感情や自尊心に触れるトレーニングやワークショップを行っている人が居るとしたら、それは第二第三の悲劇をもたらしかねません。

 そういう意味で、自己啓発セミナーの歴史はコーチングへの反面教師として、広く知られるべきことなのではないか、と思うのです。

 ICFの会員資格要件 には、下記のように明記されています。
コーチ向け専用トレーニングとして承認されないトレーニングとは:
•コーチがしばしば使うスキルであっても、他のスキルを教えるものとして商品化されているトレーニング
•自己啓発プログラムの各コース(フォーラム、ランドマーク、ライフスプリング、ライフトレーニング、サイエンス・オブ・ザ・マインド、など)
•心理学、カウンセリング、NLPなどの他分野での教育は、実際にコーチトレーニングとしてまたコーチ向け専用トレーニングとしてみなされない。ただし、ICFコア・コンピテンシーの観点に従ってコーチのトレーニングとして実際に教えられているものであれば、この限りではない。
 この微妙な表現の中に、コーチング業界が抱えている問題が浮き彫りにされているように思います。

 コーチングの「効能」の部分を強調するのであれば、想定される「副作用」の部分にも敏感でなければならない。今後、コーチングを「金儲け」からアカデミックやヘルスの分野に広げようと思うのであれば、無自覚では居られないことだと思います。

 ということで、コーチングを志す者のたしなみとして、入会お待ちしています♪(オチはそこか?
| 原口佳典 | コーチングの学術研究 | 23:52 | comments(0) | trackbacks(0) |

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